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ローテンプ改修!
さて今回は”VR6と過ごす日本の夏”がテーマです。

最近のドイツ車、特に日本導入モデルについては密かに開発段階で日本国内で路上試験を実施するようになったらしく、かなり日本の気候に対する耐性が向上したようです。(日本は世界で最もクルマにとって劣悪な使用条件だそうです)
しかしゴルフVが日本でのデリバリーが開始された10数年前、VWは日本での路上試験は行ってなかったと聞きます。
VWディーラーの話でもゴルフVに関しては日本国内用に”特別な仕様変更”はしてないとの見解です。
これはVWに限らず当時の多くのヨーロッパ車も同様なのではないでしょうか。

普通のゴルフVと比べてエンジンが大きく発熱量の大きいVR6は日本の夏に対応できるのでしょうか?

VR6とは?
VR6 Explorer ポリシー
VR6 Explorer BBS
VR6 スペシャル
ドイツの気候・地理条件を考える。
ゴルフVの誕生した国、ドイツがどんなところか考えてみましょう。

一般に”ドイツは寒い”、”ドイツは北にある”などのイメージはあるのですが、果たしてドイツはどれくらい日本より北にあるのか実際にビジュアル化。日本とドイツをグッと接近させてみました。

そう、それは想像を遥かに超えた北っぷり。
日本本土がおよそ北緯30度〜北緯45度内におさまるのに対してドイツは北緯48度〜北緯55度と全くかぶりません。
もう別世界ですね、こうなると。
日本国内で最もドイツの気候に近い場所は稚内かもしれません・・・(稚内は北緯45度)
(ちなみにドイツは日本より国土面積が小さいんです!意外でしょ?)

しかもVR6の生まれ故郷VWの本社があるウォルフスブルグにいたっては日本より北にあるドイツ国内の更に北にあります!
僕が何を言いたいのか。もうお分かりですね?

ちなみに僕のVR6はウォルフスブルグ工場製造です。
遠いところからやってきたんだねぇ・・・
フォルクスワーゲン ゴルフ3 VR6 1996年型モデルを考察する。
VR6乗りの間では一般的に'95モデル以降は”熱”に強いとされています。
’94モデルまでのVR6は夏場に渋滞にハマったりすると水温がみるみる上昇し100度を突破。オーバーヒートには至らぬものの冷や汗もんだそうです。
僕は'96モデルをチョイスしたのですが、確かに夏場渋滞にハマっても水温計は90度を差したままピクリとも動きません。
しかし最近不穏な情報をVR6仲間より耳にしたのです・・・

’95モデル以降は水温計の感度を鈍くしている」

これは〜'94モデルに乗るオーナーから水温に関する問い合わせが殺到した為の対応だと言われてます。
つまりVW側では前述の水温の上昇は問題無し、と判断したようです。
しかしこれでは、「正しい情報の隠蔽」をしているようにしか思えないのです。

ドイツとの気候差を考えると、水周りくらいは日本国内向けに仕様変更した方が良いかもしれません。
さて、どうしたものか??
最強にして最後のカード!ローテンプサーモスタット&ローテンプファンスイッチ
さて夏を迎えるにあたって水回りの対策をしようと思い立った僕は、お馴染みのVWスペシャルショップSanfter Wind(以下SW)へ駆け込みました。


オーナーの白石さんに相談したところ・・・
ローテンプサーモスタット70℃仕様(写真・右)、ローテンプファンスイッチ82℃仕様(写真・左、ちなみに上はローテンプファンスイッチコネクター変換アダプター)の取り付けをおススメされました。
いずれもアメリカのVW用アフターパーツメーカーとして有名なNEUSPEED製。日本ではイシカワエンジニアリングが代理店となっております。
ローテンプサーモスイッチ、ローテンプファンスイッチ共に、その名が示すとおりノーマルパーツより低温(ローテンプ)で水路の切り替え、電動ファンの起動を行うようになります。

じゃあそれらのパーツをつけるとどんな効果があるの?
お勉強しましょう!
そもそもVR6の冷却システムってどうなってるの??
交換作業に入る前にVR6の冷却システムについておさらい!!
まずはVR6の冷却システムがエンジン冷却水路入口にサーモスタットが付く”入口制御”だってことに注意してください。
他にはエンジン冷却水出口側にサーモスタットが付く”出口制御”という方式もあります。これは国産車に多いらしいです。
下の図で今回の改修における主役のパーツ、
ローテンプサーモスタットローテンプファンスイッチがドコにあるのか確認しましょう。ついでにVR6の冷却システム作動シークエンスを説明します。

実際の制御は外気温、エアコンのON・OFFなどの様々な外的要因で変化しますが、基本動作はこのようになります。
図1

エンジンスタート!!
ウォーターポンプが動き出し、冷却水の循環がスタートします。
この時水温は低いので、
ローテンプサーモスタットはラジエターからの冷却水入口側閉、バイパスライン入口側開となります。
●図2

しばらく走行すると、エンジンと水温が温まってきました。
この時サーモスタットは徐々にバイパス入口側を閉・ラジエター入口側を開にしていきます。VR6用
ローテンプサーモスタットの場合水温が70℃でバイパス入口側が全閉、ラジエター入口側が全開となります。
これでラジエターを介した冷たい冷却水がエンジンに入ってきます。


水温が70℃を切ると再び図1の状態に戻ります。
●図3

おっと渋滞に遭遇。ラジエターに走行風が当たらなくなる為、水温が上昇します。水温が82℃に達したところで
ローテンプファンスイッチの接点がON!ファーストステージの電動ファンに起動信号を発信。電動ファン起動!
ラジエターに風を送ります。
グングン水温が下がってまいりました。良かった〜
水温が82℃を切るとファンは停止します。


万が一これでも水温が下がらない場合はセカンドステージファン→サードステージファンへと移行します。
(※下表ご参照)
ノーマル状態とローテンプ化状態とのファン起動温度の比較。
VR6のファンは水温等の条件に応じて回転速度が3段階に変化します。
ノーマル状態の起動温度 ローテンプ対策後の起動温度 備考
ファーストステージファン 87℃ 82℃ エアコン起動時に常時作動
セカンドステージ
ファン
97℃ 92℃  
サードステージ
ファン
110℃ 110℃ オーバーヒート寸前。
ローテンプ対策後も起動温度は変わらず。
交換作業
VR6の冷却システムはご理解戴けましたか?
さすがにこの作業は、僕には荷が重いので、白石さん交換お願い致します。

えっ!!コノ写真どこかでみたことある?しかもこのゴルフはVR6じゃない?
細かいこと言ってると女性に嫌われますよ。マジで。
ローテンプサーモスタット交換完了!
この写真はクルマと向き合って右側、ラジエターとエンジンの間です。

写真中央の赤丸内のサーモハウジングが新品になってます。ハウジングはサーモスタット交換時に一緒に交換するのが吉です。

じゃあサーモスタットはどこだ?

残念ながらサーモハウジングの影になってしまいコノ写真からは確認できません。


赤矢印の先にサーモスタットはあります。

頑張ったのですがどうしてもカメラが入らないのですよ・・・
ローテンプファンスイッチ交換完了
こちらはフロント左側フェンダーから前方に向って撮影。
赤丸内の奥にローテンプファンスイッチがあります。
でもこの写真では分かりづらいので更に下の写真でアップしてみました。

赤丸内の奥に見える金色の部品がローテンプファンスイッチです。

こういった小さな部品をひとつひとつ交換することによって夏に強いVR6が出来上がるワケです。

交換後の結果
それでは対策前と対策後ではどれだけ水温に変化が出たのか確認しましょう。
しかし僕のVR6は前述したとおり水温計が不感症のため交換してもしなくても水温は90℃を差したまま変化がありません。
そこで僕のVR6よりも半年ほど先にローテンプ化を実施した'93 ゴルフVVR6オーナーのVR6浅草さんにデータを提供していただきました。
’93VR6の水温計は敏感なタイプなのでローテンプ化の効果がハッキリ確認できるそうです。
 水温&油温 表
 
対策前 水温 95℃〜103℃ 90℃〜95℃
油温 97℃〜102℃ 94℃〜98℃
ローテンプ対策後 水温 87℃〜90℃ 85℃〜88℃
油温 94℃〜98℃ 90℃〜94℃
※水温・油温共に一般道を普通に走行し温度が安定した状態からの計測値となっております。
ちなみにVR6浅草号の主行動地域は関東地方です。クルマの個体差があるのでココの数値が100%全てのVR6に共通はしませんのでご注意下さい。
この結果いかがでしょうか?ローテンプ化はかなり有効に思われます。冬場でもオーバークールにはなっていないですね。
ちなみに自動車エンジンにとって一般的な理想水温は80℃〜90℃、理想油温は90℃〜110℃といわれています
。ローテンプ対策後は正に理想値内に収まっています。

僕のVR6も油温に関してはほぼ同数値なので水温も同様に変化してると思われます。(僕のVR6も関東地方にて使用しております)ついでと言ってはなんですが、エアコンの効きが向上したことも合わせてご報告させて頂きます。
またVR6浅草さんのお話では燃費も若干向上するとの報告を頂いております。
最後に
いかがでしたか?

毎年夏になるとVR6オーナーの間で話題になるローテンプ対策についての”最終回答”とするべくこのコーナーを組みました。
世間では安易なローテンプ化はエンジンを痛める原因であるという意見もあります。
しかしVR6にもその意見が当てはまるか真剣に考える必要があると思います。

このコーナーをじっくり読んでいただいた上で皆様の判断、自己責任によるローテンプ対策をご検討下さい。

と、堅苦しい話になってしましましたが、僕自身はローテンプ対策をして本当に良かったと思います。

今年の夏はVR6と楽しい思い出が作れそうです^^


→次の記事 足回り交換
※関連記事 ローテンプ化再検証。

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