考察、VR6のヒーターコア。
 今回の主役は、ATと並び、故障したら涙目もののパーツのひとつである『ヒーターコア』
その修理にはダッシュボードばらしという苦闘が伴うのだという・・・
このコンテンツでは「ヒーターコアとは何か?」、「故障時の症状は?」、「なぜ故障するのか?」、「故障は防げるのか?」、「ヒーターコア修理の実態」、「出先で故障した時の応急処置は?」の6点について説明する。
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このサイトではお馴染み、埼玉のVW・AudiスペシャルショップSanfter Wind(ザンフター ヴンド)さん。
もちろんVR6は得意中の得意。ゴルフ2にVR6を換装したデモカーが圧巻です。
管理人のVR6もココでお世話になっています。
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ヒーターコアとは何か?
 このコンテンツを制作するにあたり、まず気づいたのはヒーターコアについてよく知らないってことである。
(ヒーターコアについてよく知らなくてもVR6サイト管理人は務まるってんだからスゴイ)
車内を暖めるための温風を送り出す機械であることは確かだが、その仕組みがよく分からない。
 というわけでヒーターコアを理解する為に簡単な冷却ラインフロー図を用意した。
この図、4気筒モデルのものを流用しているが、VR6もそんなに変わらないので大目に見て欲しい。
ちなみにヒーターコアはヒーターユニットと呼ばれる箱に納められて車内ダッシュボード中央下部付近に存在する。

 図のようにエンジンで温められたLLCはヒーターコアに送り込まれ、ファンの風を当てられることで、車内には温風が提供され、LLCは若干冷やされるという熱交換現象が起こる。

ここまで読んでピンときた方もいそうだが、これって要するにラジエターなのだ。
よくGTロマンなどの漫画で、古い車がオーバーヒートしそうになるとヒーターをONする描写があるが、まさにこの原理を利用してLLCの温度を下げる苦肉の策だったのだ。

ここまででヒーターコアについてご理解頂けただろうか。
ヒーターコア故障時の症状は?
 ヒーターコアの故障といえば『LLCの漏れ』のことである。

ヒーターコア(ヒーターユニット)は車内ダッシュボード中央下部付近に存在しており、LLCが漏れ出すと、運転席、助手席シート足元のエアコン吹き出し口やフロアマットが湿るのですぐに分かる。

ついでにフロントウィンドーが曇りやすくなり、室内に甘い匂い(LLCの匂い)が漂いだすともうヒーターコア故障確定である。

整理すると、

・運転席、助手席足元のエアコン吹き出し口やフロアマットが湿る。

・フロントウィンドーが曇りやすくなる。

・室内にLLCの甘い匂いが充満する。


・リザーバータンクのLLCが減る。

この4点が重点確認項目である。
ちなみにLLCの甘い匂いは人体に有害であるので、故障を発見したら迅速に修理することをお勧めする。
ヒーターコアはなぜ故障するのか?
 右の写真がヒーターコアである。

このようにイン&アウト側ホース差込部、及びタンク部は樹脂、コア本体部はアルミで、タンクとコアの接続はカシメているので、経年劣化、熱劣化によりカシメ部から漏れるケースが圧倒的に多い。
コア部が腐食して漏れる場合は、よほどLLCのメンテ(井戸水とかの鉱水だけ使用)状態が悪かったといえる。
 このヒーターコアも定番である、タンクとコア本体部のカシメ付近から漏れた形跡がある。
ヒーターコアの故障は防げるのか?
 結論から申し上げるとヒーターコアの故障を防ぐことは無理である。
VR6を長く所有していれば、いつか遭遇するトラブルと考えて差し支えなく、最近では『消耗品』と割り切って事前に交換してしまうパーツのひとつと考える方もいるほどである。
しかし、少しでも延命させる方法としてLLCを規定濃度で定期的に交換することを推奨しておきたい。

さらに、冷却ラインの保護としてかまたが個人的にお勧めするのが『WAKO'S クーラントブースター』である。
これの効能・特徴は、

・添加するだけで冷却液の防錆・防食・消泡性能を復活。

・ラジエーター、エンジンの材質に関係なく使用可能。

・キャビテーションを抑制し、ウォーターポンプの磨耗を防ぐとともに、LLC内で発生する泡によるオーバーヒートを防ぐ。

などの効果がある。
ヒーターコア自体を劇的に延命させるものではないが、冷却が厳しいVR6にはぜひお勧めしたいケミカルである。

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ヒーターコア修理の実態
 ヒーターコアの修理は、基本的にコア本体を交換する以外に術は無い。
今回は独力でコア修理を成し遂げたyamさんの作業風景をご紹介する。(ゴルフ3VR6 94年モデル)
まずはダッシュボードをバラした状態。
ここまで解体しないとヒーターユニットを取り出すことは出来ない。作業は地獄である。(yamさん談)
ついに取り外したヒーターユニット。
この中にヒーターコアがある。
ヒーターユニットを二つに分割した状態。
とうとうヒーターコアが現れた。

yamさんは整備士免許をお持ちで、過去に自動車ディーラーで整備を担当していた経験もおありである。だとしてもここまでの作業はなかかな出来ないであろう。
ヒータコアの修理は確かな技術と経験、そしてなによりも情熱が必要なのである。

yamさんのVR6に対する深い愛情に感服!!
出先でヒーターコアがパンクした時の応急処置は?
 ヒーターコアから漏れがあれば色々と予兆がある事は前述したが、不幸にして出先で突然コアがパンクなんてケースもありえる。こうなるといきなり足元から蒸気があがってパニックになりそうだが、LLCによる火傷に注意しつつ路肩の安全な場所に車を寄せて頂きたい。
この項ではこのような非常時の対処法を説明する。
 まず用意しておきたいのは右の写真のような、ホースジョイントとバンド。
ジョイントの外径は17〜18mm程度、バンドは21〜22mm程度、それぞれホームセンターの園芸用品売り場あたりに置いてあるだろう。

整理すると、

・ホースジョイント

・ホースバンド

・プライヤー(ホースバンドの取り付けに使用)

・2リッターのペットボトル。(LLCの補充に使用。ただし軟水に限る)


以上、場所をとらないものなので、常に車載しておけばよいだろう。
 作業概要を説明する。

ヒーターコアからLLCが漏れるのを防ぐには、ヒーターコアにLLCが行かないようにすればよい。
右図の赤線部のようにコアにLLCが行かないようにバイパスさせればよいのだ。
下の冷却ラインフロー図と比べてみてほしい。
ヒーターコアのバイパスはこうやる。
 ここからは96年モデルのゴルフ3VR6でのバイパス作業を具体的に説明するが、ま作業に入る前にLLCが冷めたことを必ず確認しなければならない。
ロアーホース、アッパーホースの表面温度が人肌以下になればOKである。

 バイパスさせるホースを確認しよう。
右写真の赤丸内に注目。
ここに車内のヒーターコアに出入りするホースが存在する。
上の赤丸部の拡大写真である。
バルクヘッド部にある2本のホースを確認してほしい。
右写真のとおり、それぞれヒーターコアに向かうものと、エンジンルームに戻るものとなっていることにに注意されたし。

ホースを留めているバンドをプライヤーで慎重に外そう。
 これがバイパスさせた状態である。
ホースジョイントやバンドの使用状況がご理解頂けるだろうか?
このホースバンドもプライヤーで増し締めするのを忘れずに。

(ちなみのこの写真になるとパイピング類が一気にスッキリしてしまうのは94年モデルのyam号の写真だから)
 バイパス作業がが完了した後は減ってしまったLLCを補充する。
この作業も前述したようにLLCが冷めてから行うように。

1.リザーバータンクの蓋をゆっくりと慎重に開ける。(内圧があると吹くので)

2.水道水でよいので、maxのちょっと上ぐらいまで補給する。

3.リザーバータンクの蓋を完全に閉めてエンジン始動。

4.水道水が循環し始めるとリザーバータンクの水位が下がるので一旦エンジンを停止。maxの位置に水位がくるまで1〜4の工程を繰り返す。

これでひとます応急処置は完了である。
あとはすぐに近所のディーラーに駆け込もう。
これはあくまで応急処置なので、このままの状態で走り続けようなどと考えてはいけない。
余談
 ゴルフ3シリーズのヒーターコアは常にLLCが循環するように設計されているが、日本車ではヒーター使用時以外にはヒーターコアにLLCが回らないような設計思想が標準的らしい。
この理由をSanfter Windの白石さんに伺ったところ、「ドイツは寒い国なのでヒーターが効かないのは死活問題となる。このような理由で、コアへの循環切り替え機構が故障するとマズイので、常に循環する設計としている」という風説があるらしい。(あくまで風説)
しかし、この設計思想を裏付けるかのように、エンジンで温められたLLCがまず最初に向かうのはヒーターコアである。つまりヒーターがすぐに効く。これはドイツの気候に大いに関係しているだろう。
 最後に皆様のVR6のヒーターコアが長生きするよう祈りつつ、このコンテンツを締めたい。

Special Thanks

技術指導・写真提供 yamさん
技術指導 Sanfter Wind 白石さん
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こちらもヒーターコア同様に厄介なトラブル。

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